さまざまなライフイベントを経て、40代、50代になると増えてくるのが不動産についてのお悩みです。
「親の自宅を相続したが、誰も住む予定がない」
「親が介護施設に入居したため、自宅が空き家になってしまっている」
「離婚したので自宅を売却し、狭い家に引っ越したい」など、それぞれの理由で不動産の売却をお考えの方もいらっしゃるでしょう。
不動産を手放す際にまず気になるのは「いくらで売れるのか」ではないでしょうか。
この記事ではご自宅の価格相場をまずご自身で調べる方法を紹介します。
正確な価格を知るにはプロへの依頼が必要ですので、あくまで目安として参考にしてください。
クリックできる目次
土地の価格には4種類ある
公示価格 | 基準地価 | 路線価 | 実勢価格 | |
公表機関 | 国土交通省 | 都道府県 | 国税庁 | 不動産業者など |
評価基準日 | 1月1日 | 7月1日 | 1月1日 | - |
公表時期 | 3月中下旬 | 9月中下旬 | 7月初旬 | 随時 |
価格水準 | 時価に近い | 時価に近い | 公示価格の80% | 実際の取引価格 |
上の表のように、土地の価格には4種類あります。
- 公示価格
- 基準地価
- 路線価
- 実勢価格
4種類のうち、実勢価格をのぞく3種類は公的機関が公表しています。
実勢価格は不動産業者が公表する、実際の取引価格です。
算出するためには不動産業者へ査定を依頼する手間がかかりますが、土地固有の特徴を加味した価格を知りたい場合には有用です。
4種類の価格の特徴をひとつずつ見ていきましょう。
1. 公示価格
公示価格は国土交通省が発表しています。
ある特定の地点における1㎡あたりの単価で、毎年1月1日時点の評価が3月中下旬頃に公表されます。
おもに「都市計画区域」内を対象としており、2020年時点で対象地点は全国に約26,000箇所。
不動産鑑定士2名による鑑定評価をもとに判定されます。
公示価格の特徴は次の4つです。
- 一般の方が土地の取引や資産評価をする際の目安とされる
- 固定資産税や相続税の評価をする基準となる
- 建物が建っている場合は建物がないものとして算出される
- 土地の使用制限がある場合は制限がないものとして算出される
2. 基準地価(基準地標準価格)
基準地価の調査主体は都道府県です。
毎年7月1日時点の土地評価が9月中下旬に発表されます。
対象地点は全国に約20,000ある「基準地」で、1㎡あたりの価格で表されます。公示価格との違いは「都市計画区域」以外の住宅地・商業地・工業地も含む点、土地の評価を1名以上の不動産鑑定士がおこなう点です。
基準地価の特徴は「公示価格の補完的な役割を持つ」点です。
理由は大きく2つあり、1つ目は発表時期の違いです。
公示価格の発表が3月頃であるのに対して、基準地価の発表は半年後の9月であり、発表時期の違いから公示価格の速報値として参考にされます。
また2つ目は対象範囲の広さです。
公示価格は「都市計画区域」をおもな対象とする一方、基準地価は「都市計画区域」以外も対象です。対象地域の違いからも、基準地価は公示価格の補完として扱われます。
路線価(相続税路線価)
路線価は不動産鑑定士をはじめとする専門家による評価額と、有識者による意見価格などから国税庁が定めます。
評価時点は毎年1月1日、発表は毎年7月です。
対象とする土地が面する道路の「路線価」をもとに宅地を評価し、1㎡あたりの価格で表されます。
簡単な例ですが、たとえば路線価20万円の道路に面する60㎡の土地を考えてみましょう。
路線価20万円×土地の面積60㎡=1,200万円と計算できます。
路線価の特徴はおもに次の2つです。
- 相続税・贈与税の計算に使用される
- 公示価格の80%程度である
路線価は相続税路線価ともいい、相続税や贈与税の計算にあたって使用されます。
実勢価格
実勢価格はこれまでの3種類と違い、調査主体・公表機関が公的機関ではありません。
不動産会社に依頼して土地を査定してもらいます。公示価格・基準地価・路線価はどれも土地の価格を知るための目安になりますが、実際の取引価格とは乖離している場合もあります。
土地の特徴をふまえて、より正確な価格を知りたい場合は不動産業者に相談すると良いでしょう。
注意したいのは不動産情報サイトや折込チラシにて掲載されている不動産の価格です。
SUUMOといった情報サイトや新聞の折込チラシに載っている価格は「売出価格」といって、実勢価格と同額とは限りません。
実勢価格は実際に不動産が取引される価格です。
売出価格が2,000万円の土地でも、100万円の値引きにより1,900万円で成約した場合には、実勢価格は1,900万円となります。
売出価格は土地の査定額を参考に、売主の希望を加味して設定されるため高めになる傾向にあります。
したがって値引きを希望する買主も多く、実勢価格は売出価格よりも安くなる可能性があります。
自宅の価格を自分で調べる4種の方法
土地には4種類の価格がある点をお伝えしました。
ここからは具体的に、自宅の価格を自分で調べる方法について解説します。
具体的には次の4種類があります。
- 公示価格・基準地価から調べる
- 路線価から調べる
- 過去の取引価格から調べる
- 現在売り出されている物件価格から調べる
1. 公示価格・基準地価から調べる
公示価格や基準地価から自宅の価格を調べる方法は、とくに自宅の「土地」を売りたい方や、家が古く土地の価値しかないような場合に向いています。
なぜなら公示価格や基準地価では、建物の価値を考慮せず、土地を更地として評価するためです。
公示価格や基準地価はこちらの国土交通省のページで調べられます。地名を入力して検索する方法、地図から選択する方法の2種類があります。
2. 路線価から調べる
自宅の土地の路線価は国税庁のホームページから調べましょう。手順は次の6つです。
- ホームページの日本地図から調べたい都道府県を選択する
- 「1. 土地関係」の「路線価図」を選択する
- 調べたい市区町村を選択する
- 調べたい町名の右側にある5ケタの数字を選択する
- 白黒の地図から自宅が面する道路を探す
- 5の道路に書かれている数字(※)に自宅の面積をかける
※白黒の地図(路線価図)の道路に書かれている数字はそのままでは使えません。たとえば「195E」と書かれている道路なら、1㎡あたり19.5万円となります。自宅の面積を100㎡とすると、計算結果は19.5万円×100㎡=1,950万円です。
なお路線価は実際に売買されている価格の7割〜8割程度といわれています。
ですから路線価から1,950万円と算出された場合、実際には約2,400万円〜2,800万円の価値があると推測できます。
3. 過去の取引価格から調べる
3つ目が過去の取引価格から調べる方法です。「REINS Market Information」または「土地総合情報システム」というサイトを使います。
1. REINS Market Informationを使って調べる方法
REINS Market Informationでは直近1年で売買された一戸建て・マンションの取引価格を調べられます。
手順は次の4つです。
- トップページにて一戸建て/マンションどちらかの都道府県と地域をプルダウンメニューから選び「検索する」を押す
- 追加検索条件(地域詳細や沿線、最寄り駅など)を選択し、「検索する」を押す
- リストから土地面積や築年数などの条件が自宅に近い物件を見つける
- 3で見つけた物件の価格を参考にする
マンションの場合、マンション名までは公開されていないので町名や築年数から自分のマンションに近い物件はどれかを推測するようにしてくださいね。
2. 土地総合情報システムを使って調べる方法
土地総合情報システムは国土交通省が運営するサイトです。次の3つの手順で取引価格を調べます。
- 「不動産取引価格情報検索」を選択する
- 時期・種類・地域をそれぞれメニューから選択して「この条件で検索」を押す
- 一覧から町内・面積・築年数などの条件が自宅に近い物件の価格を参考にする
4. 現在売り出されている物件価格から調べる
最後に、現在実際に売り出されている物件情報から価格の相場を調べる方法を紹介します。
使用するサイトはSUUMOやHOME’Sなどの不動産情報ポータルサイトです。
どのサイトでも調べ方はおおむね同じで、エリアや住所、路線といった「地域」の情報、中古マンション/中古戸建てといった「物件の種類」など条件を絞り込んでいきます。
現在売り出し中の物件が表示されるので、ここでも自宅と条件の似た物件を見つけて価格の参考にしましょう。
ただし先述のように不動産情報サイトに掲載されている売出価格はあくまで「その値段で売っている」だけであり、実際の取引価格と必ずしもイコールではありません。
とくに戸建ての場合だと売出価格よりも1割ほど安く成約するケースが多いため、取引価格の相場は売出価格よりも安くなる傾向にあります。
まとめ
自宅の価格を自分で調べる方法を4種類、紹介しました。
公示価格・基準地価から調べられるのは土地の価格のみである点には注意が必要でしたね。また路線価から調べる場合も、実際の取引価格の7〜8割程度になっている点を考慮しましょう。
過去の取引価格や現在の売出価格から調べる場合は、ご自宅の所在エリアや物件の種類によっては検索結果が少ない可能性があります。検索結果があまりに少ないときは検索条件を少し広げて調整してみましょう。
自分で調べてみたけれど、しっくりくる検索結果が得られなかった、より正確な評価額を知りたい場合は不動産業者に査定してもらうことをおすすめします。
当社では不動産売却をお考えの方を、買い手の目線を持つプロが手厚くサポートいたします。
相続したが管理できていない物件や、今は空き家でになっていて手放したい方からのご相談も承っております。
小さなお悩みでも親切にご対応いたしますので、こちらのお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。